岸本信夫スケッチ紀行
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私部1
自転車でスケッチポイントを探しながら走っていて、この場所が目に止まった。あちらこちらでよく見かける新興住宅地だが、いかにも穏やかな休日風景である。
私部2
雨が続いたので少しの晴れ間を見て気晴らしにスケッチに行った。しかし、途中で雨がぱらつき、かえってストレスがたまりそうだった。交野には立派な長屋門を構えた家が多いが、この造り酒屋の長屋門はとりわけ豪華である。
私部3
この道は市役所の横の道。いわばメーンストリートである。交野市内の古い集落内の道は私部に限ったことではないが、とにかく狭い。自動車の主役は軽自動車で、しかもかなりの運転技術を要求される。もちろん私は、こうした道に自動車を乗り入れたことはない。
私部4
市役所の近く、細い道に沿って長屋門を構えた豪勢なお宅が並んでいる。この道は東高野街道の脇街道だった「山根街道」という古い道だそうだ。
私部5
同じ場所を10年前にスケッチした絵。現在は寺の手前の長屋門が改修されているが、手前の土塀の崩れ方は変わっていない。立ち木は当時も今もあまり正確に描いていないので、比較できない。
私部6
私部の道は狭いが、なかでもこの路地は自転車でも走りづらい。ゴールデンウィークの一日、この路地でスケッチブックを広げていると、ネクタイ姿の若いサラリーマンが声をかけてきた。「いつもここを通りますが、こんなところでも絵になるんですね」「連休なのに仕事?住宅関係ですか」「今年入社したばかりで、マンションの営業です」「がんばってね」−−そんなやり取りをした。何だかとてもさわやかな気分が残った。
私部7
私部地区に限らず北河内地区の古い集落には豪壮な構えの農家が多い。土地が肥え、大消費地にも近いため、昔から換金作物の栽培に有利だったのだろう。
私部8
95年から5年間福岡で生活した。00年3月に交野に帰って自宅に落ち着くまで8カ月ほど駅に近いマンションに住んだ。引っ越しの日が近づいて、2度と描けないアングルをということで、ベランダから私部の俯瞰を。家々の構えを見ると、河内平野の農家は昔からずいぶん裕福だったことが分かる。
私部9
ちょっとした空き時間を利用してスケッチに。近くに古い町並みがあるのは助かる。絵を覗き込んだ人が「汚い家なのに絵になると立派な町並みに見えますね」という。「ずいぶん失礼な言い方」と思ったら、その人の自宅だったらしい。
*画像と紹介文は岸本信夫氏のご了解を得て掲載しています。